戸目子のブログ

大人になった娘が読むことを想定して書く、日常や過去の覚書き

非人間的な場所で社会化される

 

電動自転車での娘の送り迎えも、生活リズムの一部として定着し(というか送り迎えだけが生活リズム)、風を切って走る爽快感と、娘とのプチ旅気分を毎日エンジョイしている戸目子ですが。
ノンストップでどんどんどんどん大きくなる子供。
一応チャイルドシートの規定も「未就学児まで」。

 

ということで、家と車は絶対持ちたくない!とイキっていた戸目子家ですが、母は大人しく自動車教習所に通いはじめました。
それもオートマ(AT)でなく、あえて難しいマニュアルを!

 

...でも早速初回のシュミレータ実習で不安になり、途中からでもATへ変更できるかとか色々ググりました。
(途中変更できるみたい)
でも実際にクルマを動かしてみたら、ちょっと出来る気がしてきた!

ちなみにマニュアル車を選択したのは、十年ほど前にドイツ人たちから「免許取るならマニュアル」と聞いたから。ヨーロッパではまだまだマニュアル車が多いらしく、MT免許が重宝するそうです。
十年前の話だけど。

 

 

初めて教習所に申請に行った日は、その非人間的な雰囲気にむちゃくちゃおののいた。

受付の人たちは皆ロボットみたいな話し方と、機械のような手と指の使い方でテンプレ化した内容を説明する。
完璧に施されたネイルとか、一本一本計算されたみたいにセットされた髪の毛とかが、そのロボティックな動きや音声に映えて、怖さ倍増だった。

(マスクのせいやろけど)表情も読み取れないし、こちらのどんな質問にも無感情で的確な答えが返ってくるので、すごい精巧な機械だなと、最終的には感心した。


そして、無機質なチャイムが鳴ってはゾロゾロと足早に出たり入ったりしている教習生たちは皆、足並みが揃っていて、当たり前だけど一言も発さず無表情なので、なんとなく戦時中はこんなシーンが日常だったのかなとか、あるいはこれって未来の姿なのかとか心乱れた。
これだけ大勢の人間がいるのに、あまりヒトの気配が感じられない。音もない...!

 

と手続きの途中「赤いソファでお待ちください」と言われ、待っていたら突如恐怖MAXになって、す、すんませんキャンセルを‼︎ と申し出てしまった。

で、バスを待つ間、他の教習所をググりながら、もしやどこもこんな感じなのかも?、と疑い始め、今日せっかく色々準備して来たんだし皆が通った道なんだし勇気を出してはじめの一歩を!!と思い直して受付に戻り、担当になった別のロボットの方に登録申請しました。

 

 

これもダメ、あれもダメ、いかなる理由でも即刻退室、みたいなルールが厳しくて、まるで教官の間で「ビビらせよ」と示し合わせてるかのような説明会。(以降の授業は大分マシに)

ま、運転は命に大きく関わることだしな、と言い聞かせるも、海外のゆるゆる教習所事情(しかも安い) を思うとなんか違和の感が。
小学校から始まり、日本では「教壇に立つ」というのは支配とか威圧とか権力を意味するのかな? 根強い軍国主義を垣間見た気分。

 

ともあれ何回か通ううちに、すっかりロボットの一員として足早に歩く戸目子。
あぁ、自分ちゃんと社会化されてる~!! と一種の感動を覚えます。

※社会化
個人が他者との相互行為を通じて、諸資質を獲得し、その社会(集団)に適合的な行動のパターンを発達させる過程、つまり、人間形成の社会的な過程(socialization)

 

 

東京で車を持つなんて愚の骨頂!
と思ってたけど、便利なのは間違いない。

ただ、ドライバーとなるにあたって一番心配なのは、加害者になってしまう確率が爆増すること。
戸目子は、親/成人であること以外「社会的強者であること」の経験がほぼない人生だったので、ドライバーという強者の立場に付随する責任謙虚さを持つことに苦労するだろうと思います。
どちらも戸目子にあまり縁のなかった文字です。
(それがあっても事故は起こるんだろけど..)

 

また、学科教習の中で、
「自分が乗るクルマやバイクの力を、自分自身の力だと思い込んでしまう人がいます」といった説明があり、とても腑に落ちました。
力を持ちたい。その欲求が大きければ大きい人ほど、乗り物はもちろん、銃などの武器を持ったときに感じる全能感やいかに、と。

 

ちなみに、教習所が制作したであろう学科教習のビデオ、毎回見せられるんだけど、最悪の仕上がりです。
ステレオタイプとセクシズムを積極的に盛り込んでおり、あぁ、クルマ社会というのは、戸目子にとってまた新しい差別社会の経験となるのかもなと、覚悟を改める次第です。
アンカーマン(映画『俺たちニュースキャスター』)みたいな世界だったら面白いけど、現実はコメディにできないぶん冷酷です。

 

 

「マミー、"スクール" に行ってるの?!」と驚く娘。
母は教習所に通い、父は日本語を勉強する。
「親が何かを学んでいる」姿を子供が見るのは、とても大事だなと思います。

自分のとうに知っている日本語をたどたどしく練習する父を見て、たまに教えたりしながら、興味深く観察する娘。
勉強するのは子供だけじゃないこと、そして学ぶ楽しさは人類共通であることを、身体で感じとってくれたらいいな。
得意・不得意といった小さなレベルを超えた、ヒト本来が持つ好奇心を見せられる親でありたいと思っています。

 



 

 

その日メモ :

先日、朝から17時まで家に一人という日がありました。

娘のお迎えがいつもと1、2時間遅いだけなんだけど、この1時間の差は大きい!

前日から何をしようかとわくわくしてたが、結局なにも計画は立てられず。 するとどうなるか。

 

アンバーハードの反対尋問を
七時間鑑賞しました。

 

元夫婦 ジョニーデップとアンバーハードの裁判
これをぶっ続けで7時間くらい見た後はさすがに自分を呪った

 

それにしても、一度は愛し合った人と、裁判所でお互い視線を避けながら向き合い、プライバシーもなんもない醜い情報を晒し合って戦うというのは、そうそうできる経験ではない。(アメリカではTV放映されるし)

しかもつい先日は、ジョニーの25年前の恋人ケイトモスが、ジョニー側の証人として登場(ロンドンからオンライン)。

これ以上の「リアリティ・ショウ」がありますやろか!

 

ケイトモスなんて、そんな昔の恋人が今、自分のために証言台に立ってくれる、こんなロマンチックなことがあろうか。(内容はさておき)

戸目子も、あなたがもしジョニーの立場になったら、あなたのために立つよ!!証言したる!
と夫に熱弁ふるってたら、
「君はどちらかというとアンバーハード」て言われワロた。

 

今は週に3、4回、夫婦で夕方〜夜の散歩をして、将来の裁判劇に向けて愛を深めています。

 

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基本の散歩ルートは家から1km先のイオンにあるタリーズカフェ
(写真の麺は、映画『パラサイト』を観て以来ハマった
 チャパグリ/チャパゲティ等のまとめ買い)