戸目子のブログ

大人になった娘が読むことを想定して書く、日常や過去の覚書き

『戸目子』の由来

 

 戸目子という名前は、戸目子が小学4年生のときに自分につけた名前です。

戸目子は幼少期から変態的でした。子供に変態という言葉がふさわしくないなら、一般にきもちわるいと思われる性質を持ち合わせた子、というかんじ。(性的な意味合いはありません)

小学2年生まではその異常性を、同じく異常な兄とともに惜しみなく発揮できて幸せだったけど、3年生の夏あたりから、兄は一人で遠くの方に成長してしまった。(あまり相手にされなくなった。)

 

同志を失った戸目子は、仕方がないから新しいパートナーを自分で探すことに。

昔から人を見る目に長けていると自負する戸目子はこのときも、これ以上ふさわしい人はいないという唯一無二の人物を見つけた。(というか同じクラスに居た。)

その子は戸目子の本名と同じ、当時ありきたりな◯◯子という名だったので、差をつけるため皆から "子ちゃん" と呼ばれていた。

子ちゃんは存在自体が面白くて、小学生当時からユーモアのセンスが抜群だった。スキあらばオモロイことを言う上に、決して他人をネタにあざ笑ったりしないというプロ芸人もビッツラの芸達者ぶりで、みんなの人気者だった。
だけど主張が強いタイプではなく、どこかシャイなヴェールをまとっているところに彼女の変態性を見出した戸目子は、普段の日常生活とは別に、子ちゃんと二人で独自の世界を築くことにした。

 

まずは手紙交換から始め、しばらくしたらカセットテープのA面に長々とボイスメッセージを吹き込んで子ちゃんに渡し、B面に返事を吹き込んで返すよう頼んでみたら、後日本当にそうしてきた。しかも初回から (当時の戸目子は知らない)アナウンサー用語を駆使してなにかを解説したり、(戸目子の知らない)演歌を披露したりしていて、なんか新しい世界に足を踏み入れたような感動を味わったのを覚えている。

一方の戸目子は、当時愛読していた幽⭐︎遊⭐︎白書の飛影がなぜ好きかとか、家族の夕食時を盗聴したものとかを吹き込んでいた記憶がある。

二人とも、同じテープに延々と重ね録りし続けていたので、記録に残っていないのが残念でなりません。

 

話は変わって、戸目子が幼稚園のときに家にあった絵本集の中に『げんごろうのなみだ』という話があり、それを特別気に入ってよく読んでいた。

むかしむかし、げんごろうという男が窃盗目的で通りすがりの人を斬り、金目の物を盗んで生活していたが、げんごろうには心優しい娘がいて、人斬りをやめるよう父を説得し続けたがもちろん聞くことはなく、ある日その娘が顔を隠して通りすがりを装い、わざと斬られて死に、げんごろうはたいそう悲しんで人斬りをやめた、という話。

この"ザマア"的展開が戸目子の気に入ってたんだと思う。(この「理想的な女が犠牲になって男を改心させる」というテンプレ、どうにかならんものかと今は思うけど。)

 

ある日、子ちゃんにこの『げんごろうのなみだ』の話をするととてもウケてその後よく話題に上がったので、そのうち彼女をげんごろうにしようと決め、自分には戸目子と名付けて夫婦になった。

とめ、というのは戸目子の曾祖母の名前です。子供が産まれまくって仕方なかった彼女の両親が、もうこの子でほんまに最後!という願いを込めて「トメ!」と名付けたらしい。祖母から聞いたその話もお気に入りだったので、自分につけた。漢字のチョイスは、当時の戸目子ががんばって考えついたものです。

げんごろうと戸目子には「お船」という優秀な娘がいた。手紙やカセットテープの中でお互いをげんごろう/戸目子と呼び合い、延々と二人の生活のことや娘の話などを共有する時間は至福でした。ここに書き残すには躊躇するような内容でも、当然のようにつきあってくれたげんごろうには感謝しかありません。たしか後に二人目の娘も産まれたけど、名前が思い出せない。お船が優秀すぎて、長女びいきしていたのを認めます。

 

子ちゃんとのこのやりとりは小学校卒業後まで続いたけど、突如大人数となった中学校では近くのクラスになることすらなく、その後戸目子とげんごろうの距離は自然に遠のいていった。

 

 

 大人になって再会した子ちゃんと何度か遊ぶうちに、当時の彼女に関するいくつかの衝撃的な話を聞いた。
小学生当時、ただただおもしろかった子ちゃんに重い事情があったなんて想像もしなかった。
彼女のユーモアの一部は、はかり知れない絶望とか恐怖が手伝っていた部分もあったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

その日メモ :

糊もテープも使わない、純粋に紙の設計構造だけで作る飛行機。

海外製で、説明書は大雑把な図のみA4サイズ2枚分。ちょろっと手をつけた夫も断念したコレが戸目子の手でできるとは!

ぼくの住処を作ってるのだねと思っている猫が、作業中邪魔で仕方なかった。

 

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ぼくの住処